日本国憲法は1947年に施行され、十一章・百三条から構成されている日本の最も重要な最高法規です。
- 国民主権
- 基本的人権の尊重
- 平和主義
上記3つの原則が記されており、日本という国をどのように運営していくかを決めているルールの根幹です。法律や条例、命令詔勅も憲法に基いて作られています。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
日本国憲法第九十八条
簡単に言うと日本の最も大事なルールブックということです。
しかしながら、日本で最も大事なルールなのに実際に読んだことのある人は少数で、憲法の成り立ちや憲法改正が何故議論されているかも分からない人が多いのが現状です。
今回は、あまり知られていない日本国憲法について書き留めておきます。
日本国憲法の成り立ち
日本国憲法は1947年の吉田茂(麻生太郎の祖父)内閣時に施行された憲法です。上記添付写真の衆議院のHPで確認できます。
日本は1945年に敗戦し、その後1952年の7年間に渡り連合国軍に支配されていました。その間にできたのが日本国憲法です。占領された時期に作られた憲法は、現在の国際法に照らし合わせて考えると明確な違反であり、根強い議論の対象になっています。
史実として当時の政府が、憲法改正の初期案をGHQに提出したところ不十分と判断され却下されます。その後GHQが草案作成し、それが今の日本国憲法の基礎となっています。
しかしながら日本国憲法ができた当初は、戦争放棄や軍の不保持の観点から世界一美しく理想の憲法であると称されたこともありました。
さらに日本国憲法の特徴として、憲法施行から70年以上一度も改正されていないことが挙げられます。こちらも賛否が分かれるところであり、第二次世界大戦の敗戦国であるドイツは憲法を60回以上改正し、イタリアは19回、他の先進国もアメリカ6回、カナダ19回、フランス27回など時代に合わせて憲法改正している先進国が多いのが実情です。
憲法改正の議論
憲法改正についてはさまざまな角度から議論がなされていますが、今回はその中でも特に議論されることの多い『憲法第九条』について取り上げてみます。
第九条日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
日本国憲法九条
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
日本国憲法九条では、戦争放棄と軍の不保持が明確に謳われています。
1900年代は世界中で戦争が頻発していた時代です。そのため「軍を持たず平和を願うことが最も素晴らしい」とする解釈が生まれるのは当然でした。
さらに連合国軍の視点で考えると「敗戦国として再び戦力を持てないようにするために軍を持たせなかった」と言ったような意味合いも当然あったことでしょう。
いずれにせよ当時はそれで良かったのですが、今の世界情勢とはズレています。
ロシアのウクライナ侵攻は記憶に新しいですし、北朝鮮はミサイルを撃ちまくっていたり、中国が軍による圧力で様々な海域に出張ったりと、覇権主義国家の台頭が著しいのが昨今の世界事情です。
もちろん外交による努力や対話により解決することが一番望ましいのですが、軍事力や核による抑止力によって均衡が保たれてるのも事実です。
現在の日本では軍を所有するには憲法改正が必要となり、ここが護憲派と改憲派で意見が分かれ議論になっているポイントなのです。
さらに日本国憲法を改正するには、下記要件を乗り越える必要があります。
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
日本国憲法九十六条
過去に一度も憲法改正が成されていないのは、この高いハードルがある為です。
今後どうすればいいのか?
護憲派と改憲派で意見が割れるのは当然ですが、70年以上前に作られた憲法をこのまま使い続けることの弊害はあります。
日本は軍隊を持ちませんので、日本の有事の際はアメリカが助けてくれることになっています。仮にも中国、ロシア、北朝鮮と世界の覇権主義国家の代名詞みたいな国と物理的距離の近い日本が、安全保障を他国に依存しているのは大きな問題です。
憲法が作られた当時はこのような問題は起きていませんでしたが、70年という歳月が状況を変えたのです。
さらにトランプ大統領の再選で、日米同盟の解釈が変わったり、覆される可能性は大いにあります。その時に日本という国をどう守るのかは、我々国民がしっかりと向き合わなければならない問題です。
今回は日本国憲法について諸々書きました。皆さんの議論が深まるきっかけになることを祈念しております。
それでは、また。