受験や就職活動の時にはめちゃくちゃ勉強しますが、合格したり就職が決まった途端に全てを放り投げて、一切学ばない日本人って多いですよね。
私もその一人でした。
総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」によると、有業者の学習、自己啓発、訓練に充てる時間は週全体で平均7分という結果になっています。
意訳すると、働いている人の週の平均学習時間は7分ってことです。
当然ながら先進国最低水準で、国がリスキリングを進めるのも無理ありません。
この日本人勉強しない問題の理由ですが、日本の教育って「達成感よりも開放感を与えている」からかなーと思うんです。
学びの喜びや生きていくノウハウみたいなものは殆ど教えられず、暗記中心の詰め込み授業に苦痛を感じ、逃げ出したいと考える子どもは少なくありません。
今回は日本の教育について、そろそろ変わらなきゃやばいんじゃないのってツッコミを入れようと思います。
日本教育について
最初に日本の教育について書こうと思ったのですが、日本の教育を知るためにはフランス革命と国民国家を理解する必要があるので、そ辺りの歴史から書いてみます。
国民国家の概念
日本の教育の歴史を学ぶ前に、フランス革命と国民国家について理解しておかなければなりません。
1789年にフランス革命が起こり、身分制度の廃止、個人の自由の尊重、法の下の平等など現代に近い社会運営が行われるようになります。王様や貴族は追放され、国が市民のものだと認識されるようになりました。また、フランス革命を機に王様や貴族が雇用していた傭兵(雇われ兵士)は解散され、国力の衰退したフランスに付け入ろうと周辺諸国のプロイセンやスペインが侵攻を企てていました。
フランスでは「せっかく手に入れた自分たちの国を取られてたまるかー」と義勇軍(金銭的見返りを求めずに自発的に戦闘に参加する人)が奮起し、自分たちの手で国を守ろうとします。
この時に国民国家という概念が世間に浸透しました。国民国家とは共通の社会・経済・政治生活を営み、共通の言語・文化・伝統を持つ一つの共同体のようなものです。帰属意識や仲間意識という感じと認識してOKです。
傭兵がいなくなり国力が衰退したと思われたフランスですが、一般市民を徴兵して作った義勇軍が強く、フランスは瞬く間に世界トップの軍事力を手にしたのです。理由は簡単で、傭兵と呼ばれる雇われ軍人はお金を貰うことが主たる目的で、怪我をしたり死んだりするようなことを避けてきました。いわゆるビジネス的な戦いをしてきた人です。
しかしながら国民国家の概念を持った義勇兵は、大切な家族や仲間を守るために本気で戦い、傭兵とは一線を画す戦いをしたのです。結果としてフランスは周辺諸国を上回る国力を手にしました。
周辺諸国もこのフランスの動きを真似て、国民国家の浸透に力を入れました。
その時に重要だったのが教育で、
- 国家の一員であることを自覚すること
- 集団生活を覚え協調性を持つこと
- 最低限の知識を身に付け働けること
上記が重要視され、西側諸国の教育の根幹となりました。
日本の教育
日本は西側諸国に追いつけ追い越せということで、富国強兵が掲げられ教育方法も彼らを真似る形で作られていきました。
1872年、明治5年に日本初の教育法令である学制が発布されます。
その目的は西側諸国と同じで、
- 国家の一員であることを自覚すること
- 集団生活を覚え協調性を持つこと
- 最低限の知識を身に付け働けること
上記を徹底的に国民に身に付けさせたのです。
嘘のようですが、今でもその名残があって「休め、気をつけ、礼、前へならえ」は、幕末から明治初期にかけて伝習隊と呼ばれる、フランス軍から集団行動を習った人たちが残したものです。
集団が号令のもと同じ動作をおこなうこと自体に意味があると顧問団の面々は陸軍方に伝えた。号令により、反射的に体を動かせるように成ればなるほど、苛烈な戦況下 で伝習兵達は戦士として威力を発揮すること になるのだと。(略)フランス語の号令とは、attention(気をつけ)、salut(敬礼)、arrêter(止まれ)などの言葉であった。
「幕末伝習隊」
150年以上前のことを現代でもやっているって違和感を感じてしまいます。学校教育も同じで、30人〜40人を一つの部屋に詰め込んで、同じことを教えることに限界がきているし、今の世の中に全く合っていないと断言できます。
教育基本法や学校教育法などアップデートはされますが、教育の根幹である国民国家の概念を教えるということが変わらなければ意味はないのです。
達成感より開放感
前置きが長くなりましたが、私は「学びとは喜びとセットに教えるもの」だと思っています。今の日本の教育は暗記中心の詰め込み方式で運用されていて、学ぶよりも覚えるということに特化しています。
学ぶことは知的好奇心を刺激し成長を促します。覚えることは長期記憶にはなりますが反復性が必要です。どちらが喜びを感じやすいかは一目瞭然で、日本の教育が暗記中心で行われている限りは、覚えることに対して苦痛を感じる子供たちを大量に生み出してしまいます。
結果として、「学ぶ喜びよりも暗記する苦痛」が先行してしまい、勉強に対してネガティブな感情を持つ人が多くなっているのです。これこそが受験や就活の時だけ勉強し、目的を達成したら勉強から解放されるとい仕組みになっており、達成感よりも開放感を与えている原因です。
日本教育が全て正しいわけではありません。疑問を感じたら徹底的に調べて自分で答えを見つけ出してください。そして、自分の興味を追求する、学外に目を向ける、楽しいと思えることを続けてください。
そうすれば何事も好転します。それではまた。